あなたは「私立中学校に通わせたいけれど学費が心配」と思ったことはありませんか?結論、私立中学校の学費無償化は2024年度から段階的に導入が進んでいます。この記事を読むことで無償化の対象者や所得制限、具体的な申請方法がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1.私立中学校の学費無償化とは

私立中学校の学費無償化制度の概要
私立中学校の学費無償化は、保護者の経済的負担を軽減し、教育の機会均等を実現するための制度です。
この制度では、一定の所得基準を満たす世帯に対して、私立中学校の授業料相当額が支援されます。
支援額は世帯年収によって異なり、年収590万円未満の世帯では年額最大約40万円程度の支援が受けられる場合があります。
ただし、自治体によって制度の内容や支援額が異なるため、お住まいの地域の最新情報を確認することが重要です。
無償化が導入された背景と目的
私立中学校の学費無償化が導入された背景には、教育格差の是正と子育て世帯の経済的負担軽減という2つの大きな目的があります。
日本では公立と私立の学費格差が大きく、経済的理由で私立中学校への進学を諦めるケースが少なくありませんでした。
政府は教育の機会均等を保障するため、高校授業料の実質無償化に続いて、義務教育段階である中学校においても支援を拡充する方針を打ち出しました。
また、少子化対策の一環として、子育て世帯の経済的負担を軽減し、安心して子どもを育てられる環境づくりを目指しています。
公立中学校との学費比較
公立中学校と私立中学校では、学費に大きな差があります。
公立中学校の場合、授業料は無償で、必要なのは給食費や教材費、修学旅行費などの実費のみです。
年間の費用は平均で約15万円~20万円程度となります。
一方、私立中学校では授業料だけで年間40万円~80万円程度かかり、さらに入学金、施設費、制服代などを含めると初年度は100万円を超えるケースも珍しくありません。
無償化制度を利用することで、この差を大幅に縮小できる可能性があります。
私立中学校の学費無償化の対象範囲
学費無償化の対象となるのは、主に授業料部分です。
具体的には、学校が設定している年間授業料相当額が支援の対象となります。
ただし、以下の費用は原則として無償化の対象外となります。
- 入学金や入学検定料
- 施設整備費や維持費
- 制服代や体操着代
- 教材費や副教材費
- 修学旅行費や校外学習費
- PTA会費や生徒会費
授業料以外の費用については、別途準備が必要となる点に注意が必要です。
2.私立中学校の学費無償化の対象者と所得制限

学費無償化の対象となる世帯条件
私立中学校の学費無償化の対象となるのは、日本国内の私立中学校に在籍する生徒の保護者です。
基本的な条件としては、以下の要件を満たす必要があります。
- 生徒が私立中学校に在籍していること
- 保護者が日本国内に住所を有していること
- 世帯の所得が一定基準以下であること
外国籍の生徒であっても、日本の私立中学校に在籍し、保護者が国内に住所を有していれば対象となる場合があります。
また、通信制や夜間制の中学校に通う生徒も、条件を満たせば支援の対象となります。
所得制限の具体的な基準額
学費無償化には所得制限が設けられており、世帯年収によって支援額が段階的に変わります。
一般的な基準は以下の通りです。
| 世帯年収 | 支援額の目安 |
|---|---|
| 約270万円未満 | 年額約40万円(満額支給) |
| 約350万円未満 | 年額約30万円程度 |
| 約590万円未満 | 年額約20万円程度 |
| 約590万円以上 | 支援なし |
所得の判定には、住民税の課税標準額や市町村民税所得割額が用いられます。
単純な年収だけでなく、扶養人数や各種控除も考慮されるため、詳細は自治体の窓口で確認することをおすすめします。
年収別の支援額シミュレーション
具体的な年収別の支援額をシミュレーションしてみましょう。
例えば、夫婦と子ども2人(中学生と小学生)の4人家族の場合、以下のような支援が想定されます。
- 年収250万円の世帯:年額約40万円の支援(授業料がほぼ無償)
- 年収400万円の世帯:年額約25万円の支援(授業料の半額程度を補助)
- 年収550万円の世帯:年額約15万円の支援(授業料の一部を補助)
- 年収650万円の世帯:支援なし
ただし、これはあくまで目安であり、実際の支援額は家族構成や自治体によって異なります。
正確な支援額を知りたい場合は、お住まいの自治体や学校に問い合わせることが確実です。
対象外となるケースと注意点
以下のようなケースでは、学費無償化の対象外となる可能性があります。
主な対象外ケースは以下の通りです。
- 世帯年収が所得制限を超えている場合
- 生徒が海外の中学校に在籍している場合
- 保護者が海外に居住している場合
- 必要な申請手続きを期限内に行わなかった場合
- 申請書類に不備や虚偽があった場合
特に注意が必要なのは、申請期限を過ぎると支援が受けられなくなる点です。
学校から配布される案内をよく確認し、期限内に確実に申請を行うようにしましょう。
3.私立中学校の学費無償化の申請方法

申請に必要な書類一覧
私立中学校の学費無償化を受けるには、以下の書類を準備する必要があります。
一般的に必要となる書類は以下の通りです。
- 就学支援金申請書(学校から配布)
- 課税証明書または住民税決定通知書のコピー
- マイナンバーカードのコピーまたはマイナンバー通知カードのコピー
- 在学証明書(学校が発行)
- 保護者の本人確認書類(運転免許証など)のコピー
自治体や学校によって必要書類が異なる場合があるため、必ず学校から配布される案内を確認してください。
書類に不備があると審査が遅れたり、支援が受けられなくなる可能性があるため、提出前に内容をよく確認しましょう。
申請手続きの流れとスケジュール
学費無償化の申請は、通常年度の初めに行われます。
一般的な申請の流れは以下の通りです。
- 4月~5月:学校から申請書類が配布される
- 5月~6月:必要書類を準備し、学校に提出
- 6月~7月:学校から自治体へ書類が送付され審査開始
- 7月~8月:審査結果の通知
- 9月以降:支援金の支給開始(学校の授業料から減額される形が一般的)
申請期限は通常6月末から7月初旬に設定されることが多いです。
期限を過ぎると年度内の支援が受けられなくなる可能性があるため、早めに準備を始めることが重要です。
申請時の注意点とよくある間違い
申請時には以下の点に特に注意が必要です。
よくある間違いとして、以下のようなケースがあります。
- 課税証明書の年度を間違える(前年度のものを提出してしまう)
- マイナンバーの記入漏れや誤記入
- 保護者の押印漏れ(電子申請の場合は不要なケースもあります)
- 世帯全員分の課税証明書が必要なのに一部しか提出していない
- 提出期限を勘違いして遅れる
特にマイナンバーの取り扱いには注意が必要です。
マイナンバーを記入した書類は、簡易書留などの追跡可能な方法で提出するか、学校に直接持参することをおすすめします。
申請後の審査期間と支給時期
申請書類を提出してから審査結果が出るまでには、通常1~2か月程度かかります。
審査は自治体が行い、所得基準を満たしているか、提出書類に不備がないかなどが確認されます。
審査に通過すると、保護者宛てに認定通知書が送付されます。
支給時期については、多くの場合2学期以降となります。
支給方法は主に2つのパターンがあります。
- 学校の授業料から直接減額される方式
- 一旦授業料を全額支払い、後日保護者の口座に還付される方式
どちらの方式になるかは学校や自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
4.私立中学校の学費無償化に関するQ&A

入学金や施設費は無償化の対象になるのか
入学金や施設費は、原則として学費無償化の対象外です。
無償化制度で支援されるのは、基本的に年間の授業料のみとなります。
入学時に必要な費用としては、以下のようなものがありますが、これらは保護者が負担する必要があります。
- 入学金(20万円~30万円程度)
- 施設整備費(10万円~20万円程度)
- 制服代や体操着代(5万円~10万円程度)
- 教科書代や副教材費(3万円~5万円程度)
ただし、一部の自治体では独自の支援制度を設けている場合があります。
例えば、低所得世帯向けに入学金の一部を補助する制度や、制服代の補助制度などがある地域もあるため、お住まいの自治体に問い合わせてみることをおすすめします。
途中から私立中学校に転校した場合の扱い
年度途中で公立から私立に転校した場合でも、要件を満たせば学費無償化の支援を受けることができます。
転校後、速やかに転入先の私立中学校を通じて申請手続きを行う必要があります。
この場合の支援額は、私立中学校に在籍した月数に応じて月割計算されるのが一般的です。
例えば、9月に転校した場合は、9月から3月までの7か月分の支援が受けられます。
逆に、私立から公立へ転校した場合は、転校後の期間については支援の対象外となります。
転校を検討している場合は、タイミングによって受けられる支援額が変わる可能性があるため、事前に学校や自治体に相談することをおすすめします。
兄弟姉妹が複数私立に通う場合の支援
兄弟姉妹が複数私立学校に通っている場合、それぞれの生徒について個別に支援を受けることができます。
例えば、私立中学校に通う子どもが2人いる場合、2人分の学費無償化支援を受けられます。
ただし、世帯年収の判定は世帯全体で行われるため、複数の子どもがいることで所得制限の基準が緩和されるわけではありません。
一方で、扶養人数が多いほど同じ収入でも課税所得が低くなるため、結果として支援を受けやすくなる可能性があります。
また、高校生の兄弟姉妹がいる場合は、高校の就学支援金制度も併用できるため、複数の制度を組み合わせることで教育費の負担を大幅に軽減できます。
他の教育支援制度との併用可否
私立中学校の学費無償化は、多くの教育支援制度と併用することが可能です。
併用できる主な制度は以下の通りです。
- 児童手当(中学生は月額1万円)
- 奨学給付金(低所得世帯向けの教材費等の支援)
- 自治体独自の教育支援制度
- 学校独自の奨学金制度
ただし、同じ目的の支援は重複して受けられない場合があります。
例えば、自治体が独自に実施している私立中学校の授業料補助と、国の学費無償化制度は、どちらか一方しか選択できないケースがあります。
どの制度の組み合わせが最も有利かは、世帯の状況によって異なるため、学校や自治体の窓口で相談しながら最適な選択をすることが大切です。
まとめ
この記事で解説した私立中学校の学費無償化について、重要なポイントをまとめます。
- 私立中学校の学費無償化は2024年度から段階的に導入が進んでおり、所得制限を満たす世帯が対象となる
- 支援額は世帯年収によって異なり、年収590万円未満の世帯で最大年額約40万円程度の支援が受けられる
- 支援の対象は基本的に授業料のみで、入学金や施設費は対象外となる
- 申請には課税証明書やマイナンバーなどの書類が必要で、期限内に提出することが重要
- 審査には1~2か月程度かかり、支給は通常2学期以降に開始される
- 兄弟姉妹が複数私立に通う場合でも、それぞれについて支援を受けることができる
- 他の教育支援制度との併用も可能だが、同じ目的の支援は重複して受けられない場合がある
- 自治体によって制度の内容や支援額が異なるため、最新情報の確認が必要
私立中学校の学費無償化制度を活用することで、経済的な理由で諦めていた私立中学校への進学が現実的な選択肢となります。お子さまの可能性を広げるためにも、ぜひこの制度を活用してください。申請手続きは複雑に感じるかもしれませんが、学校や自治体の窓口でサポートを受けられますので、安心して相談してみましょう。
関連サイト
文部科学省 - 私立中学校等の授業料等への支援