あなたは「投資信託の月桂樹って実際どうなの?」と気になったことはありませんか?結論、月桂樹は毎月分配型の債券ファンドで、2003年から運用されている歴史のある商品です。この記事を読むことで月桂樹の特徴や分配金の仕組み、注意点がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1.投資信託「月桂樹」の基本情報

月桂樹とは?正式名称と愛称の由来
月桂樹は「高金利先進国債券オープン(毎月分配型)」という投資信託の愛称です。
正式名称が長いため、親しみやすく覚えやすい愛称として「月桂樹」と名付けられました。
この愛称は投資家にとって覚えやすく、証券会社の窓口でも「月桂樹」と言えばすぐに通じる人気の呼び名となっています。
月桂樹という名前には、安定した成長を続ける常緑樹のように、長期的に安定した収益を目指すというファンドの運用方針が込められているとも言われています。
運用会社と設定日
月桂樹を運用しているのは日興アセットマネジメント株式会社です。
日興アセットマネジメントは日本を代表する資産運用会社の一つで、多くの投資信託を運用する実績があります。
設定日は2003年8月5日で、すでに20年以上の運用実績を持つ歴史の長いファンドです。
長期間運用されてきたことで、さまざまな市場環境を経験してきた実績があり、運用の安定性を判断する材料の一つとなっています。
償還日は無期限となっており、運用会社が特別な事情で決定しない限り、継続して運用される仕組みです。
投資対象と運用方針
月桂樹の主な投資対象は先進国のソブリン債(国債)や社債です。
具体的には、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどの先進国が発行する債券に分散投資を行います。
運用方針としては、信用力の高い先進国の債券を中心に投資することで、安定的な利息収入を確保することを目指しています。
また、為替ヘッジは原則として行わないため、為替変動の影響を受けます。
これは為替差益を狙う一方で、為替差損のリスクもあるということを意味しています。
ファンドの特徴として、毎月安定した収益分配を行うことを目指すという点が挙げられ、定期的な収入を求める投資家に向いている商品です。
基準価額と純資産総額の推移
2025年12月時点での基準価額は約3,490円となっています。
設定時の基準価額は10,000円でしたので、長期的には価額が下落していることがわかります。
純資産総額は約535億円で、多くの投資家から資金を集めているファンドです。
ただし、近年は資金流出が続いており、純資産総額は減少傾向にあります。
基準価額の推移を見ると、分配金を出し続けることで基準価額が下落する典型的な毎月分配型ファンドの特徴が表れています。
2.月桂樹の分配金と運用実績

毎月分配金の仕組みと実績
月桂樹は毎月分配型のファンドで、年12回の決算を行い、毎月分配金が支払われる仕組みです。
分配金は投資信託の運用益や配当収入などから支払われますが、運用益が十分でない場合は元本の一部が払い戻されることもあります。
これを「特別分配金(元本払戻金)」と呼び、実質的には自分が投資したお金が戻ってくるだけなので、利益ではありません。
2024年4月時点での直近分配金は1万口あたり25円となっています。
毎月決まった額が支払われるため、定期的な収入を求める退職者層などに人気があります。
分配金の推移と健全度
月桂樹の分配金は過去に何度か減額されてきた歴史があります。
設定当初は高額な分配金を出していましたが、運用環境の変化や基準価額の下落により、段階的に減額されてきました。
分配金健全度は約80.33%となっており、分配金の一部が運用益以外から支払われている可能性が高いことを示しています。
分配金健全度が100%を下回るということは、分配金の一部が元本から支払われているということです。
分配金余力(今の分配水準をあと何か月続けられるか)という指標では、数年程度の余力はありますが、今後さらなる減配の可能性もあります。
過去のリターン実績(1年・3年・5年)
月桂樹の運用実績を見てみましょう。
1年間のリターンは約+11.42%と、比較的好調な成績となっています。
これは主に為替の円安効果や債券価格の上昇が影響していると考えられます。
ただし、3年や5年の長期で見ると、分配金を再投資しない場合の基準価額は大きく下落しています。
リスク(価格変動の大きさ)は年率約9.03%で、債券ファンドとしてはやや高めの水準です。
シャープレシオ(リスクに対するリターンの効率性)は1.25と、まずまずの水準となっています。
他の債券型ファンドとの比較
月桂樹を他の先進国債券ファンドと比較してみます。
同じカテゴリーの中では、運用実績は平均的な水準となっています。
ただし、信託報酬(運用管理費用)は年率約1.34%と、近年登場している低コストファンドと比べると高めです。
例えば、インデックス型の債券ファンドであれば信託報酬0.2%程度のものもあります。
また、NISAの成長投資枠では購入できますが、つみたて投資枠の対象商品にはなっていません。
3.月桂樹のリスクと注意点
為替変動リスクの影響
月桂樹は為替ヘッジを行わないため、為替変動の影響を大きく受けます。
外貨建て資産に投資しているため、円安になれば基準価額が上昇し、円高になれば下落します。
例えば、1ドル100円から110円に円安が進めば、ドル建ての資産価値は円換算で約10%上昇します。
逆に、1ドル100円から90円に円高が進めば、約10%下落することになります。
為替の動きは予測が難しく、短期間で大きく変動することもあるため、為替リスクを十分に理解した上で投資する必要があります。
金利変動による基準価額への影響
債券は金利が上昇すると価格が下落する性質があります。
月桂樹は債券に投資しているため、各国の金利動向が基準価額に大きく影響します。
特に近年は、アメリカやヨーロッパで金融政策の変更が頻繁に行われており、金利の変動が大きくなっています。
金利が上昇する局面では、既存の債券の価値が下がり、ファンドの基準価額が下落する可能性があります。
ただし、新規に購入する債券の利回りは上がるため、長期的には収益機会が増えるという側面もあります。
元本割れの可能性と対策
投資信託である月桂樹は、元本保証の商品ではありません。
為替変動や金利変動、発行体の信用リスクなどにより、投資元本を割り込む可能性があります。
実際、設定時から保有している投資家は、基準価額の下落により大きな含み損を抱えている可能性が高いです。
対策としては、一度に大きな金額を投資するのではなく、時間分散や金額分散を行うことが有効です。
また、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品かどうかを、購入前にしっかり検討することが重要です。
分配金の元本払戻しについて
月桂樹で特に注意すべき点が、分配金の一部が元本払戻しになっていることです。
運用益だけでは分配金を賄えない場合、投資元本を切り崩して分配金を支払います。
これは「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」に区分され、特別分配金は非課税ですが、実質的には自分のお金が戻ってきているだけです。
分配金を受け取ると得をしたように感じるかもしれませんが、基準価額が下落しているため、トータルで見ると資産は増えていないことが多いです。
分配金利回りが約8.5%と高く見えても、運用利回りがそれより低ければ、元本を取り崩しているだけということになります。
4.月桂樹の購入方法と手数料

購入できる金融機関一覧
月桂樹は多くの金融機関で購入することができます。
主な取扱金融機関は以下の通りです。
- 野村證券
- SMBC日興証券
- マネックス証券
- 楽天証券
- 千葉銀行
- 佐賀共栄銀行
- その他、多数の地方銀行や証券会社
ネット証券では、マネックス証券や楽天証券などで取り扱いがあり、オンラインで簡単に購入できます。
対面の証券会社や銀行でも購入できますが、購入時手数料が異なる場合があるので注意が必要です。
購入時・保有時・売却時の手数料
月桂樹の手数料体系を詳しく見ていきましょう。
購入時手数料は販売会社によって異なり、最大で2.2%(税込)かかります。
ただし、マネックス証券などのネット証券では、購入時手数料が無料(ノーロード)となっている場合があります。
保有期間中の費用として、信託報酬(運用管理費用)が年率約1.34%(税込)かかります。
これは純資産総額から毎日差し引かれるため、投資家が直接支払う必要はありませんが、基準価額に影響を与えます。
売却時の費用として、信託財産留保額が最大0.75%かかる場合があります。
最低購入金額と積立設定
月桂樹の最低購入金額は、販売会社によって異なります。
マネックス証券では100円から購入可能で、少額から投資を始めることができます。
多くのネット証券では、積立設定も可能で、毎月一定額を自動的に購入することができます。
積立投資を利用することで、時間分散効果が得られ、購入タイミングを気にせずに投資できるメリットがあります。
ただし、月桂樹は毎月分配型のファンドなので、複利効果を得にくいという点は理解しておく必要があります。
NISAでの購入可否
月桂樹はNISA(成長投資枠)での購入が可能です。
成長投資枠を利用すれば、分配金や売却益が非課税となるメリットがあります。
ただし、つみたて投資枠の対象商品にはなっていません。
つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した商品に限定されており、毎月分配型ファンドは対象外となっています。
NISAで購入する場合は、年間の投資枠や非課税期間などを考慮した上で、自分の投資戦略に合っているか検討しましょう。
5.月桂樹はこんな人におすすめ

毎月の分配金を受け取りたい人向け
月桂樹は毎月安定した分配金を受け取りたいという人に向いています。
年12回の決算により、毎月決まった時期に分配金が支払われるため、生活費の補填や定期的な収入源として利用できます。
例えば、100万円を投資している場合、分配金利回り8.5%なら年間約8.5万円、月々約7,000円程度の分配金を受け取ることができます。
ただし、この分配金の一部が元本払戻しである可能性が高いことは、十分に理解しておく必要があります。
分配金を受け取ることで資産形成を目指すのではなく、定期的なキャッシュフローを重視する人向けの商品です。
定期的な収入が欲しい退職者層に人気
月桂樹は特に退職後の収入を補いたいというシニア層に人気があります。
年金だけでは生活費が不足する場合、投資信託の分配金を生活費の一部として利用するという使い方です。
退職金などのまとまった資金を運用しながら、毎月の分配金で生活の足しにするという考え方は、一定の合理性があります。
ただし、元本が減少していく可能性があるため、長期的な資産の目減りには注意が必要です。
また、インフレが進行している場合、分配金の実質的な価値が目減りする可能性もあります。
長期保有を前提とした投資戦略
月桂樹に投資する場合は、短期的な値上がり益を狙うのではなく、長期保有を前提とした戦略が望ましいです。
債券ファンドは株式ファンドに比べて値動きが穏やかで、比較的安定した運用が期待できます。
ただし、為替ヘッジを行わないため、為替変動の影響を受けやすく、短期的には大きな価格変動もあり得ます。
長期的には、各国の金利水準や為替レートが平均化され、安定した収益が期待できるという考え方です。
また、毎月分配金を受け取りながらも、分配金を再投資することで複利効果を得るという選択肢もあります。
まとめ
この記事でわかったポイントをまとめます。
- 月桂樹は「高金利先進国債券オープン(毎月分配型)」の愛称で、2003年設定の歴史あるファンド
- 運用会社は日興アセットマネジメントで、先進国の国債や社債に分散投資している
- 毎月分配金が支払われるが、分配金の一部は元本払戻しである可能性が高い
- 為替ヘッジを行わないため、為替変動の影響を大きく受ける
- 信託報酬は年率約1.34%と、低コストファンドと比べると高め
- 基準価額は設定時から大きく下落しており、長期保有者は含み損を抱えている可能性が高い
- 購入はネット証券や対面の証券会社、銀行などで可能で、NISA成長投資枠での購入もできる
- 毎月の分配金を受け取りたい退職者層などに人気がある
- 元本保証ではないため、投資には十分な理解とリスク許容度の確認が必要
- 分配金利回りが高く見えても、運用実績と合わせて総合的に判断することが重要
投資信託の選択は、あなたの投資目的やリスク許容度に合わせて慎重に行うことが大切です。月桂樹のような毎月分配型ファンドは、定期的な収入を得られる一方で、元本が減少するリスクもあることを十分に理解した上で、投資判断を行いましょう。
関連サイト
日興アセットマネジメント