あなたは「ENEOSの株主優待が欲しい」と思って調べていませんか?結論、ENEOSホールディングスは株主優待制度を実施していません。この記事を読むことでENEOSの配当金情報や代替となる優待銘柄がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.ENEOSホールディングスの株主優待の現状

ENEOSの株主優待は廃止されている
ENEOSホールディングス(証券コード:5020)は、現在株主優待制度を実施していません。
公式のIRサイトにも「株主優待制度はございません」と明記されており、同社は株主還元の方針として優待ではなく配当を重視する姿勢を示しています。
ENEOSのガソリンスタンドを日常的に利用している方にとっては、給油割引券やプリペイドカードなどの優待があれば嬉しいと感じるかもしれません。
しかし、現実には優待制度は存在せず、代わりに配当金による株主還元が行われています。
株主優待制度がない理由と企業方針
ENEOSが株主優待を実施しない背景には、効率的な株主還元を重視する企業方針があります。
株主優待制度は実施コストがかかり、すべての株主が平等に恩恵を受けられるわけではありません。
そのため、ENEOSは「中期的な連結業績推移および見通しを反映した利益還元の実施を基本に、安定的な配当の継続に努める」という方針を明確にしています。
配当金であれば、株主が自由に使途を決められ、換金性も高く、税制上も透明性が高いというメリットがあります。
特に機関投資家や海外投資家にとっては、優待よりも配当金による還元の方が評価されやすい傾向にあります。
過去にENEOSの株主優待はあったのか
ENEOSホールディングスの前身企業を含めて調査しても、過去に株主優待制度が実施されていた記録は確認できませんでした。
ENEOSは2010年に新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合により発足し、その後も東燃ゼネラル石油との統合を経て現在の形になりました。
これらの統合前の各社においても、株主優待制度を設けていた形跡はありません。
石油元売り業界全体を見ても、出光興産やコスモエネルギーホールディングスなど主要企業は株主優待を実施しておらず、業界として配当重視の還元方針が主流となっています。
2.ENEOSの配当金による株主還元

2025年の配当金と配当利回り
ENEOSホールディングスの2026年3月期の年間配当金予想は34円となっています。
2025年12月上旬時点の株価は約1,064円で推移しており、配当利回りは約3.19%と高水準です。
内訳は中間配当が17円、期末配当が17円の予定で、年2回の配当が実施されます。
東証プライム市場の平均配当利回りが2.5%程度であることを考えると、ENEOSの配当利回りは市場平均を大きく上回る魅力的な水準といえます。
さらに、2024年11月には配当予想を30円から34円に増額修正しており、業績好調を背景に株主還元姿勢を強化しています。
配当金の推移と安定性
ENEOSの配当金は過去10年間で大きく変動しながらも、基本的に維持または増加傾向にあります。
2020年3月期は新型コロナウイルスの影響で最終赤字となりましたが、それでも配当金は22円を維持し、株主還元の継続姿勢を示しました。
2021年3月期以降は業績回復とともに配当も増額され、2022年3月期26円、2023年3月期以降は30円台を維持しています。
2026年3月期の34円という配当予想は、過去と比較しても高水準であり、安定した株主還元が期待できます。
ただし、石油元売り業界は原油価格や為替相場の影響を受けやすく、業績が大きく変動する可能性があることは認識しておく必要があります。
配当性向から見る配当の継続可能性
ENEOSの2026年3月期の予想配当性向は約32.5%となっています。
配当性向とは、企業が稼いだ利益のうちどれだけを配当金として株主に還元しているかを示す指標です。
一般的に30~50%程度が健全な水準とされており、ENEOSの配当性向は無理のない範囲といえます。
配当性向が低すぎると株主還元に消極的と見られ、高すぎると業績悪化時に減配リスクが高まります。
ENEOSの現在の配当性向であれば、今後も安定した配当の継続が期待でき、さらに業績が向上すれば増配の余地も十分にあります。
配当権利確定日と受取方法
ENEOSの配当金を受け取るには、権利確定日に株主名簿に記載されている必要があります。
権利確定日は年2回で、中間配当が9月30日、期末配当が3月31日です。
実際には権利確定日の2営業日前(権利付き最終日)までに株式を購入しておく必要があります。
配当金の受取方法は主に3つあります。
- 銀行預金口座への振込み(最も推奨される方法)
- 証券取引口座への振込み
- 郵送される配当金領収証による、ゆうちょ銀行・郵便局窓口での受取り
銀行預金口座への振込みを設定しておけば、配当金支払開始日に自動的に入金されるため便利です。
手続きは証券会社または株主名簿管理人である三井住友信託銀行で行えます。
3.ENEOS関連で株主優待がもらえる銘柄

京極運輸商事のENEOSプリカ優待
京極運輸商事(証券コード:9073)は、ENEOSプリペイドカードが株主優待としてもらえる唯一の銘柄です。
京極運輸商事は、石油や高圧ガスなどの危険物をタンクローリーで輸送する物流会社で、ENEOSグループと深い取引関係があります。
2024年12月に株主優待制度を大幅に拡充し、従来のQUOカード1,000円分からENEOSプリカ4,000円分以上に増額されました。
ENEOSプリカは、ENEOSのサービスステーション(ガソリンスタンド)での給油に使えるだけでなく、全国のコンビニエンスストア、大型書店など約6万店舗で利用可能です。
QUOカードと同じような使い勝手の良さがあり、日常生活で幅広く活用できます。
京極運輸商事の優待内容と利回り
京極運輸商事の株主優待の詳細は以下の通りです。
保有株数100株以上で、保有期間に応じて以下の優待が受けられます。
| 保有期間 | 優待内容 |
|---|---|
| 1年未満 | ENEOSプリカ4,000円分 |
| 1年以上継続保有 | ENEOSプリカ5,000円分 |
※1年以上継続保有の条件:基準日である3月末、6月末、9月末、12月末の株主名簿に同一株主番号で100株以上が連続5回以上記載されること
権利確定日は年1回、3月末日です。
2025年12月上旬時点の株価は約1,300円で、100株の投資額は約13万円となります。
保有1年未満で4,000円分の優待が得られるため、優待利回りは約3.1%、1年以上継続保有なら約3.8%となります。
配当金も年間20円程度支払われており、配当利回りは約1.5%です。
優待と配当を合わせた総合利回りは約4.6~5.3%と非常に魅力的な水準といえます。
京極運輸商事の株価と投資リスク
京極運輸商事への投資を検討する際は、いくつかのリスク要因も理解しておく必要があります。
まず、同社は東証スタンダード市場に上場しており、プライム市場銘柄と比べると流動性が低く、売買が成立しにくい場合があります。
また、京極運輸商事はENEOSグループへの売上依存度が高く、ENEOSの業績や方針変更の影響を受けやすい特徴があります。
石油需要の長期的な減少トレンドや、電気自動車の普及による影響も懸念材料です。
株主優待制度は企業の判断でいつでも変更・廃止される可能性もあります。
優待目当てで投資する場合でも、企業の財務状況や業績動向をしっかり確認し、リスクを理解した上で投資判断を行うことが重要です。
ただし、優待拡充直後であり、当面は制度が維持される可能性は高いと考えられます。
4.ENEOSの株式投資判断のポイント

ENEOSの事業内容と収益構造
ENEOSホールディングスは日本最大の総合エネルギー企業で、主に4つの事業セグメントで構成されています。
エネルギー事業が売上高の約8割を占め、石油精製、ガソリン・軽油などの燃料販売、天然ガス販売を行っています。
国内の燃料油販売シェアは約50%で、系列ガソリンスタンド数でも国内トップです。
金属事業では、銅やニッケルなどの非鉄金属の探査・採掘・精錬から、電子材料製品の生産・販売まで手がけています。
石油・天然ガス開発事業では、海外油田・ガス田の探鉱・開発・生産を行っています。
その他事業として、洋上風力発電、ソーラーパネル、水素エネルギーなど、再生可能エネルギー分野にも積極投資しています。
2024年3月期の営業利益内訳を見ると、エネルギー事業が約55%、金属事業が約30%、石油・天然ガス開発が約15%となっており、エネルギー以外の事業も収益に大きく貢献しています。
株価の割安性とアナリスト評価
ENEOSの株価は長期的に見ると割安水準にあるとの見方が多くなっています。
2025年11月時点のアナリストコンセンサス(平均予想)では、投資判断は「買い」、目標株価は約977円となっています。
内訳は強気買い3人、買い2人、中立2人で、ポジティブな評価が多数を占めます。
PBR(株価純資産倍率)は約0.5倍と、帳簿上の純資産と比較して株価が割安な状態です。
PER(株価収益率)も10倍前後と、市場平均と比較して低い水準にあります。
ただし、石油元売り業界は原油価格の変動に大きく影響を受ける景気敏感業種であることに注意が必要です。
2015年や2020年のように原油価格が急落した際には、ENEOSの業績も大きく悪化し、株価も下落しました。
逆に原油価格が上昇局面では業績が改善し、株価も上昇する傾向があります。
現在は業績が好調で在庫評価益も出ており、配当利回りも高いため、中長期的な投資先として魅力的と評価されています。
配当狙いの投資における注意点
ENEOSを高配当株として投資する際は、いくつかの注意点があります。
第一に、業績の変動リスクです。
石油元売り業界は原油価格、為替レート、石油製品の需給バランスに大きく影響され、業績が不安定になりやすい特性があります。
過去には営業赤字に陥った年もあり、今後も業績が大きく悪化すれば減配リスクがあります。
第二に、エネルギートランジション(脱炭素化)の影響です。
電気自動車の普及や再生可能エネルギーへのシフトにより、長期的にはガソリン需要が減少する可能性があります。
ENEOSも再生可能エネルギー事業に投資していますが、既存のエネルギー事業からの収益が減少すれば、配当の持続性に影響する可能性があります。
第三に、分散投資の重要性です。
ENEOSだけに集中投資するのではなく、異なる業種の高配当株を複数保有することでリスクを分散させることが重要です。
定期的に業績や財務状況をチェックし、減配の兆候がないか確認することも大切です。
新NISA口座でのENEOS株投資
新NISA制度を活用すれば、ENEOSの配当金を非課税で受け取ることができます。
新NISAの成長投資枠(年間240万円まで)でENEOS株を購入すれば、配当金にかかる20.315%の税金がゼロになります。
例えば、100株(約10万円)を保有した場合、年間配当金は3,400円です。
通常の特定口座なら約690円が税金として引かれますが、NISA口座なら全額を受け取れます。
長期保有すればするほど、この税制メリットは大きくなります。
ただし、新NISAの成長投資枠は生涯投資枠1,200万円の範囲内で利用できるため、他の成長株やインデックスファンドとのバランスを考えながら投資配分を決めることが重要です。
高配当株投資では、配当利回りが3~4%程度で、業績が安定している銘柄を選ぶことが基本です。
ENEOSは配当利回り3%超、配当性向も健全な水準にあり、新NISAでの高配当株投資の候補として十分に検討価値がある銘柄といえます。
ただし、景気敏感株であることを理解し、定期的に業績をチェックすることを忘れないようにしましょう。
まとめ
この記事で解説した重要なポイントをまとめます。
- ENEOSホールディングスは株主優待制度を実施しておらず、配当金による株主還元を重視している
- 過去にもENEOSや前身企業で株主優待制度が実施されていた記録はない
- 2026年3月期の年間配当金は34円、配当利回りは約3.19%と高水準である
- 配当性向は約32.5%と健全な水準で、今後も安定配当が期待できる
- 京極運輸商事はENEOSプリカの株主優待があり、優待利回りは約3~4%
- 京極運輸商事は流動性リスクやENEOS依存度の高さに注意が必要
- ENEOSは日本最大の総合エネルギー企業で、エネルギー事業以外にも金属事業などを展開している
- アナリスト評価は「買い」が多く、PBR0.5倍と割安水準にある
- 石油元売り業界は原油価格変動の影響を受けやすく、業績変動リスクがある
- 新NISA口座で投資すれば配当金を非課税で受け取れるメリットがある
ENEOSは株主優待こそありませんが、高い配当利回りと安定した事業基盤が魅力の銘柄です。
新NISAも活用しながら、長期的な視点で投資を検討してみてはいかがでしょうか。
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