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ジャパンディスプレイ上場廃止の可能性は?2028年3月期限の条件と回避策を詳しく解説

ジャパンディスプレイ上場廃止の可能性は?2028年3月期限の条件と回避策を詳しく解説

あなたは「ジャパンディスプレイの上場廃止リスクは本当に高いのか」と心配になったことはありませんか?結論、ジャパンディスプレイは2028年3月末までに流通株式比率を改善できなければ上場廃止となります。この記事を読むことで上場廃止の具体的な条件と回避の可能性がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。

1.ジャパンディスプレイ上場廃止の現状と基準

流通株式比率17.3%の問題点と上場維持基準

ジャパンディスプレイが直面している最大の課題は、流通株式比率が東京証券取引所プライム市場の上場維持基準を満たしていないことです。

2024年3月31日時点で、同社の流通株式比率は17.3%にとどまっており、プライム市場の上場維持基準である35%以上を大幅に下回っています。

流通株式比率とは、市場で自由に売買できる株式の割合を示す指標で、投資家の取引機会や流動性を確保するために設けられた重要な基準です。

この比率が低いということは、特定の株主が大量の株式を保有しており、一般投資家が売買できる株式が限られている状況を意味します。

現在、いちごトラストが78.2%という圧倒的な株式を保有しているため、市場で流通する株式が極端に少なくなっているのが実情です。

2028年3月末までの猶予期間とその背景

ジャパンディスプレイには、通常の上場廃止基準とは異なる特例措置が適用されており、2028年3月末までという猶予期間が設けられています。

この特例措置は、第三者が事業再生を支援するために一定の上場株券等を所有する場合に認められるもので、東京証券取引所が5年以内に上場維持基準に適合する見込みがあると判断したことによります。

いちごトラストとの資本提携契約が事業再生支援目的として認定されたため、通常の1年間という改善期間ではなく、より長期的な計画期間が認められました。

この猶予期間中に、同社は成長戦略「METAGROWTH 2026」を軸とした業績改善と、いちごトラストとの協議による持株比率調整を進める必要があります。

ただし、この猶予期間は最終的なデッドラインでもあり、2028年3月末までに基準をクリアできなければ、確実に上場廃止となることが明記されています。

東京証券取引所プライム市場の上場廃止基準とは

東京証券取引所プライム市場では、企業の継続的な上場を維持するために複数の基準が設けられており、流通株式比率はその中でも特に重要な指標の一つです。

上場維持基準に適合しない状態となった場合、通常は1年以内に基準に適合しなければ上場廃止基準に該当し、監理銘柄・整理銘柄への指定を経て上場廃止となります。

プライム市場の上場維持基準には、流通株式比率35%以上のほかにも、株主数800人以上、流通株式数2万単位以上、流通株式時価総額100億円以上といった複数の条件があります。

これらの基準は、市場の公正性と流動性を確保し、投資家保護を図るために設定されているもので、違反した企業には厳格な措置が適用されます。

ジャパンディスプレイの場合、現在のところ流通株式比率以外の基準は満たしているとみられますが、この一つの基準だけでも上場廃止の要因となり得る重要性を持っています。

2.上場廃止回避のための条件と課題

いちごトラストの78.2%持株比率と流通株式比率への影響

ジャパンディスプレイの上場廃止回避には、筆頭株主であるいちごトラストの持株比率を大幅に引き下げることが必要不可欠です。

現在、いちごトラストが保有する普通株式の比率は78.2%に達しており、これが流通株式比率を17.3%に押し下げている主要因となっています。

上場維持基準である35%以上の流通株式比率を達成するためには、いちごトラストの持株比率を概ね60%台前半まで低下させる必要があると推測されます。

しかし、いちごトラストは事業再生支援を目的として出資した経緯があり、急激な持株比率の引き下げは同社の経営安定性に影響を与える可能性があります。

さらに複雑な要素として、いちごトラストが保有するE種優先株式の普通株式への転換や、第13回新株予約権の行使が実施された場合、一時的に流通株式比率がさらに低下するリスクも存在します。

METAGROWTH 2026戦略による業績改善計画

ジャパンディスプレイは2022年5月に発表した成長戦略「METAGROWTH 2026」を軸として、抜本的な業績改善を目指しています。

この戦略では、次世代OLED技術「eLEAP」、超高速バックプレーン技術「HMO」、車載ディスプレイ「AutoTech」、透明ディスプレイ「Rælclear」など、6つの柱からなる技術開発と事業展開を推進しています。

特に車載分野とスマートウォッチ・VR分野での売上拡大に注力しており、従来のスマートフォン向け液晶パネルから高付加価値製品への事業転換を図っています。

同社は2024年度下期から全社EBITDAでの黒字化を目指しており、2026年度には営業黒字化を達成する計画を掲げています。

しかし、これまで10年連続で赤字を計上している現状を考慮すると、計画通りの業績改善を実現できるかどうかは不透明な部分も多く、投資家からは慎重な見方も示されています。

2026年度営業黒字化目標と現実性

ジャパンディスプレイが掲げる2026年度営業黒字化目標は、上場廃止回避の重要な要素となっていますが、その実現可能性については様々な見方があります。

2024年3月期の業績では、売上高が前年度比12%減の2392億円、営業損失341億円、純損失443億円という厳しい結果となっており、黒字化への道のりは険しいものがあります。

一方で、同社が開発を進めている次世代技術への期待も高まっており、特にeLEAP技術を活用したOLEDディスプレイは2024年内の量産開始が予定されています。

車載ディスプレイ市場では電気自動車の普及に伴う需要拡大が見込まれており、同社の統合コックピット向け製品が成功すれば大幅な収益改善の可能性があります。

ただし、中国や韓国メーカーとの激しい競争環境下で、技術的優位性を収益に結びつけられるかが最大の課題となっており、市場からは慎重な評価が続いています。

E種優先株式と新株予約権が与える一時的リスク

ジャパンディスプレイの資本構造には、流通株式比率に一時的な悪影響を与える可能性のある要素が含まれています。

いちごトラストが保有するE種優先株式5,540株は、普通株式を対価とする取得請求権を有しており、この権利が行使された場合、発行済み普通株式数が増加し、相対的に流通株式比率が低下する可能性があります。

また、第13回新株予約権についても同様のリスクが存在し、これらの権利行使のタイミングによっては、一時的に上場維持基準をさらに下回る事態も想定されます。

これらのリスク要因を踏まえ、同社は慎重な資本政策の運営が求められており、いちごトラストとの継続的な協議を通じて最適な解決策を模索しています。

投資家にとっては、これらの複雑な資本構造が上場廃止リスクを高める要因として認識されており、株価形成にも影響を与えている状況です。

3.ジャパンディスプレイの業績推移と経営状況

2014年上場以来10年連続赤字の深刻さ

ジャパンディスプレイの経営状況で最も深刻な問題は、2014年3月の東証一部上場以来、10年連続で最終損益が赤字となっていることです。

この長期間にわたる赤字体質は、スマートフォン向け液晶パネル市場における中国・韓国メーカーとの激しい価格競争と、有機EL技術への市場シフトに対応できなかったことが主な要因とされています。

上場時には約4000億円あった自己資本も、継続的な赤字により現在は約1000億円まで減少しており、財務基盤の悪化が顕著に表れています。

2025年3月期の会社予想でも266億円の赤字が見込まれており、11期連続の赤字がほぼ確定している状況です。

この長期赤字は単なる一時的な業績低迷ではなく、同社の事業構造そのものに根本的な課題があることを示しており、抜本的な事業改革が急務となっています。

2024年3月期443億円赤字の要因分析

2024年3月期決算では、売上高2392億円(前年度比12%減)、営業損失341億円、純損失443億円という厳しい結果となりました。

売上高減少の主な要因は、スマートフォン市場の縮小と競争激化により、主力の中小型液晶パネル事業が苦戦したことです。

営業損失の拡大については、固定費負担の重さと製品価格の下落が収益性を圧迫したことが挙げられます。

以下が主要な損失要因です:

• 中小型液晶パネルの販売価格下落
• 中国メーカーとの価格競争激化
• 設備稼働率の低下による固定費負担増
• 新技術開発投資による研究開発費増加
• 構造改革費用の計上

純損失がさらに拡大した背景には、金融費用や税効果会計の影響も含まれており、事業本業以外でも負担が重くのしかかっている状況が明らかになっています。

次世代OLED技術「eLEAP」の収益化見通し

ジャパンディスプレイが業績回復の切り札として期待を寄せているのが、次世代OLED技術「eLEAP」です。

eLEAP技術は、従来のOLEDディスプレイと比較して高輝度、長寿命、低消費電力を実現し、環境に配慮したGreenTech製品としての特徴を持っています。

2024年内の量産開始が予定されており、車載ディスプレイやスマートウォッチ向けの高付加価値製品として市場投入される計画です。

車載分野では、電気自動車の普及に伴い統合コックピット向けの大型ディスプレイ需要が拡大しており、eLEAP技術を活用した製品への期待が高まっています。

ただし、OLED市場では韓国のサムスンディスプレイやLGディスプレイが圧倒的なシェアを持っており、技術的な優位性を実際の収益に結びつけられるかが最大の課題となっています。

同社としては、ニッチ分野での差別化戦略により収益性の改善を図る方針ですが、市場での受容性と競合他社の動向が今後の成功を左右する重要な要素となります。

生産拠点最適化による構造改革の効果

ジャパンディスプレイは収益性改善のため、生産拠点の統廃合を含む大規模な構造改革を実施しています。

2025年3月に予定されている鳥取工場の生産終了をはじめ、競争力の乏しいG3.5世代の東浦工場についても生産終了が決定されています。

これらの構造改革により、年間数十億円規模のコスト削減効果が期待されており、損益分岐点の引き下げに寄与すると見込まれています。

一方で、工場閉鎖に伴う従業員の配置転換や設備処分費用などの一時的な費用負担も発生するため、短期的には収益に対するマイナス影響も想定されます。

同社の製造拠点は全国に点在しており、統合による効率化の余地は大きいとされていますが、顧客との近接性や技術的な専門性も考慮した最適化が求められています。

構造改革の効果が本格的に表れるのは2025年度以降と予想されており、METAGROWTH 2026戦略の成功には欠かせない取り組みとして位置づけられています。

4.投資家が知るべき上場廃止リスクと投資判断のポイント

株価17円台まで下落した要因と市場の評価

ジャパンディスプレイの株価は、上場来高値から約40分の1となる17円台まで下落しており、投資家の厳しい評価を反映しています。

この大幅な株価下落の背景には、継続的な業績悪化に加えて、上場廃止リスクへの懸念が市場に浸透していることがあります。

特に2024年5月の赤字決算発表後には売り圧力が強まり、全上場銘柄の中でもワースト級の低位株として位置づけられるまでになりました。

市場では同社の事業モデルそのものに対する疑問視も強く、技術力は評価されているものの、それを収益に結びつける能力に対する信頼が大きく損なわれています。

流動性の低さも株価下落を加速させる要因となっており、売り注文が出た際に買い支える投資家が限られていることが価格形成に大きく影響しています。

現在の株価水準は、企業の解散価値を大幅に下回る水準ともされており、リスクを承知の上で投資する投機的な資金以外は近づきにくい状況となっています。

INCJ全株売却完了による投資環境の変化

2025年3月14日、INCJ(旧産業革新機構)がジャパンディスプレイの保有株式全部の市場売却を完了したことが発表されました。

この売却により、INCJの保有比率は5.51%から0%となり、同社への公的支援が事実上終了したことを意味します。

INCJは2012年の会社設立時から筆頭株主として約2000億円を投資してきましたが、最終的に約1547億円の損失を計上する結果となりました。

公的資金による支援終了は、同社が完全に民間企業として自立経営を求められることを意味し、投資環境に大きな変化をもたらしています。

一方で、公的支援への依存体質からの脱却という意味では、真の意味での企業再生に向けた転換点となる可能性もあります。

ただし、現在の財務状況と業績を考慮すると、民間資金のみでの事業継続は極めて困難であり、いちごトラストからの継続的な支援が不可欠な状況には変わりありません。

中国企業との提携戦略が持つ可能性と限界

ジャパンディスプレイは業績回復策の一環として、中国の大手ディスプレイメーカーHKCとの戦略提携を推進しています。

この提携により、中国市場でのビジネス展開拡大と、HKCの製造規模を活用したコスト競争力向上が期待されています。

具体的には、車載ディスプレイ分野での協業や、次世代技術の共同開発などが検討されており、単独では困難な市場開拓を実現する可能性があります。

しかし、中国企業との提携には技術流出のリスクや、地政学的な要因による事業継続リスクも内在しています。

以下が主要な提携効果と課題です:

項目 期待効果 課題・リスク
市場アクセス 中国市場での販路拡大 技術流出の懸念
コスト削減 大量生産による規模の経済 品質管理の困難性
技術開発 共同研究による効率化 知的財産権の管理
資金調達 追加投資の可能性 経営の独立性確保

提携の成功は、同社の事業継続可能性を大きく左右する要因となりますが、日本企業としてのアイデンティティとの両立が重要な課題となっています。

まとめ

この記事で解説したジャパンディスプレイの上場廃止リスクについて、重要なポイントをまとめます:

• 流通株式比率17.3%が上場維持基準35%を大幅に下回っている
• 2028年3月末までに基準を満たせなければ確実に上場廃止となる
• いちごトラストの78.2%持株比率の引き下げが上場維持の必要条件
• 2014年上場以来10年連続赤字という深刻な業績状況が継続
• METAGROWTH 2026戦略による2026年度営業黒字化目標の実現が鍵
• 次世代OLED技術「eLEAP」の収益化が業績回復の重要な要素
• 株価は上場来高値から約40分の1の17円台まで下落
• INCJ全株売却により公的支援が終了し完全民営化へ移行
• 中国企業HKCとの戦略提携が事業継続の重要な選択肢
• 構造改革による生産拠点最適化でコスト削減効果を期待

ジャパンディスプレイの将来は確かに不透明な部分が多く、上場廃止リスクも現実的な課題です。しかし、同社が持つ技術力と新たな戦略的取り組みにより、困難を乗り越える可能性も残されています。投資判断においては、これらのリスクと機会を十分に理解した上で、慎重な検討を行うことが重要です。

関連サイト

株式会社ジャパンディスプレイ公式サイト
日本取引所グループ - 上場維持基準について

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